根管治療をしたのに治らない〜治療前の処置が大事
被せ物、詰め物は全て取り除く事が重要
当クリニックでは、金属やセラミック、その他の材料で作られた被せ物、詰め物、また被せ物(クラウン)下にある土台(コア)の金属や樹脂、セメントなども全て除去してから根管治療をします。
被せてあるクラウンの咬む面に穴を開け根管治療をされる場合もありますが、当クリニックでは全ての人工材料を除去してからでないと根管治療を始めません。
被せ物、詰め物を除去する理由
- 被せている物の下に虫歯が残っていないか確認ができない。(除去してみると多くの症例で虫歯がみつかります。)
- 被せた物、詰めた物、土台に隙間があり、唾液や細菌が入っている可能性が否定できない。
※ごく稀ですが、当クリニックで被せたクラウンの場合は、確実に虫歯がない事、隙間がない事を確認してから装着しているので、クラウンの上から穴を開け治療する事もあります。
土台作りは唾液、血液、湿度のコントールが重要
全ての人工材料を全て取り除いたら、う蝕検知液などを用い虫歯を完全に取り除きます。
健康な歯面になったら樹脂で土台を作ります。
その際、接着する歯面が唾液や血液などで汚染がない事、また、湿度のコントロールも重要になります。
確実な接着ができないと、唾液や細菌が入り込んだり、強度が低下して土台が壊れてしまったり、最終的に被せた物が取れたりする可能性が高くなります。
この処置をするためには確実なラバーダム防湿法をおこなう事が必須条件になります。
お口の中は湿度が100%です。
この湿度が接着を阻害しますので、ラバーダム防湿無しの処置は致しません。
治療中に唾液が絶対に入らないように
歯の治療ではラバーダム防湿をしてから治療に入るのが必須です。
「ラバーダム防湿法」とは、ラバー素材(当クリニックはアレルギー防止の観点からニトリルを使用)で防湿する、つまり「湿気を防ぐ事」が目的です。
また、ラバーダムを取り付ける際は、隙間ができないように取り付けることが重要です。
ラバーダムをしていても隙間から唾液が入り込んでしまえば、湿度どころか感染のコントロールもできません。そのため、当クリニックでは小さな隙間も見逃さないように顕微鏡で拡大し、エアーなどで圧をかけても唾液の漏れがないかを確認します。
歯の形態上、どうしても隙間が開いてしまうことがありますが、その時は樹脂系やパテ状の材料を使い、この隙間を確実に埋めてから治療に入ります。
確実なラバーダム防湿ができたら、治療する歯をイソジンとアルコールを使い消毒します。 治療する歯は直前まで唾液に触れていたので、必ず消毒してから治療に入ります。
治療前の処置が正しく行われていなければ、予後の評価もできない
被せ物、詰め物を外して虫歯を全て取り除く事、清潔な土台を作るためにラバーダムで湿気を防ぐ事、これらの処置が正しく行われてはじめて根管治療に入ります。これらの処置が正しく行われずに根管治療をすると、一時的に痛み腫れなどの症状が緩和する事がありますが、数年後に再発などの可能性もあるので、治療前の処置が治療した歯の長期安定維持にはとても重要です。
成功率を100%をめざして
根管治療とは根の中をきれいにすることですが、クラウンを除去するところから根管治療は始まっていると思います。
当クリニックでは、30数年の歯科医臨床の中で成功率を100%するために数々の取り組みをしており、上記のような根管治療に対する取り組みもその一つです。上記の処置が正しく行われつことで確実に根管治療の成功率が高くなると考えています。