インプラント治療へのこだわりと成功率を高めるための手順
当クリニックの理念は「インプラントをゼロにすること」です。
インプラントが必要になる主な理由は、下記が挙げられます。
虫歯の放置:
虫歯を放置することで、虫歯が深くまで進行し神経まで達してしまい、抜歯に至るケース。
根の破折:
歯の破折により細菌が神経まで至る、または亀裂が歯根まで到達した場合、歯の保存ができずに抜歯に至るケース。
重度の歯周病:
重度の歯周病で支える骨が全くなくなってしまい抜歯に至るケース。
ただ当クリニックでは、このような歯がある場合、まずは可能な限り歯を保存するための治療を提供しています。
当クリニックがインプラント治療を提供する場合
既に入れ歯やブリッチになっている方は歯の欠損があります。
この欠損部位の治療にはインプラントが最善の方法である事が多く、当クリニックでもインプラント処置はしています。
歯科医師としての経験とインプラント治療の開始
1992年に歯学部を卒業して5年間、勤務医をしていまいしたが、開業したらインプラントはやめようと思っていました。
もちろん、良好に使えている患者様もいましたが、一方で取れたり壊れたりされる方も多く、あまりお勧めできる治療ではないと思っていました。
1997年に開業し、インプラント治療はしませんでしたが、歯科医師会の勉強会、とある先生の講演でとても良好なインプラント治療の長期症例の講演を聞きました。
かなりの高確率で長期間、非常に良好に使えている多くの症例を見て、何が違うだろうと、演者の先生のところで1年間勉強し、インプラント治療を始めました。
その先生が使われているブローネマルクインプラントは10回の研修コースを受講しないと購入する事が出来ませんでした。もちろん、インプラント治療の術式やテクニックの話がメインですが、インプラントを成功させるための準備や手の洗い方、器具の滅菌法などベーシックな話もかなりの時間を割いて研修しました。
また、ブローネマルクインプラントは当時、骨を削るドリルを1回使い捨てとしており、他社が使える症例数を競う中、インプラントの成功率を上げるために細かい規定があり、とても素晴らしいメーカーです。
ではインプラントを高確率で成功させ、長期間良好な状態で使えるために当クリニックおこなうインプラント治療の手順をご紹介します。
インプラントの成功率を高めるための手順
当クリニックでは、以下の手順でインプラント治療を行います
術前の問診と血液検査
インプラント治療は埋入したインプラントが骨とインテグレーション(接合)することで機能します。
このインテグレーションには骨のコラーゲン代謝が重要になりますので、血液データからTP総タンパク質、BUN尿素窒素、貧血、炎症の有無、肝機能などの審査をします。
手術準備
~お口のクリーニングと消毒~
インプラント手術では感染コントロールが非常に重要です。
そのため、手術日の1週間前と当日に、衛生士によるお口のクリーニングを行います。また、雑菌は床に落ちやすく、他の患者さんが出入りすることで舞い上がり、再び落下することがあります。そこで、手術当日は手術を受ける患者様が来院されたら、他の患者様の予約を入れず、入口を閉めることで落下細菌の防止に努めます。
さらに、手術当日は手術を行うユニット、床、壁などをすべてアルコール消毒します。このような徹底した感染コントロールは、ブローネマルクインプラントの研修で学んだ基本準備の一部です。
衛生士によるお口の清掃が終わったら、口周りの顔面消毒を行います。
お口周りも手術時に触れる部分なので、消毒が必要です。消毒後は、手で触れないように注意していただきます。また、頭には滅菌されたキャップを装着していただきます。
患者様の準備が整ったら、手術を行うユニットに移動していただきます。ユニットで横になっていただいた後、鼻と口以外の全身に滅菌された布をかけます。これは手術風景そのものであり、感染を防ぐためには必要な準備です。
~使用器具の消毒と感染対策~
患者様の準備と並行して、使用する器具を1つ1つ滅菌パックから取り出します。これにより、直前までバイ菌や雑菌が入らないようにします。かなりの数の器具を使用するため、準備に時間がかかります。
手術を行う歯科医とアシストの衛生士も感染防御のために準備が必要です。まず、指先から肘までの腕を手指消毒剤で除菌します。以前は石鹸とブラシで洗っていましたが、現在はクロルヘキシジン含有エタノール製剤を使用し、長時間雑菌の繁殖を抑制します。手指消毒が終わったら、滅菌したガウンと手袋をつけて手術を開始します。
手術に入る前に、グローブを生理食塩水で浸したガーゼで拭きます。これはグローブのパウダー(パウダーフリーのグローブでも)が手術領域に入り込むと術後の炎症を引き起こす可能性があるためです。細かなことですが、こうした小さな積み重ねが良好な結果につながります。
手術の実施
~インプラント埋入の準備と実施~
準備が整い手術をスタートします。まずはインプラントを埋入するために骨を削ります。
このドリルは刃物です。刃物は繰り返し使用で切れ味が悪くなり、そのまま削ると発熱します。生理食塩水をかけながら削りますが、発熱で骨がダメージを受けると炎症が起こり、術後の痛みや腫れ、インプラントが骨と着かない可能性が上がります。また、切れ味が悪いドリルは削るのに時間がかかります。短い手術時間はメリットがたくさんあります。
骨の形成が終わったら、いよいよインプラント体を埋入します。ここではインプラント表面に血液がついている方が良いので生理食塩水での注水はしません。注水冷やしで骨の火傷を防止したいのですが、注水できないので、非常にゆっくり回転数を落としてインプランを埋入します。ここでは慌てずゆっくり回転する方が予後が良好になります。
~術後のケア~
埋入が終わったら、切開線を縫合します。元のスペースより、インプラントの頭の部分が出っぱるので縫合している歯茎に張力がかかります。張力がかかったまま縫合するとインプラントが歯茎より露出してしまうことがあるので圧がかかならないような工夫も必要になります。
縫合が終わったら滅菌ガーゼで圧迫止血をして止血が確認できたら治療終了です。
治療後はご希望の方には痛み止めをお出ししますが、8、9割の方は飲まずに過ごされるようです。
半数以上の方は腫れや痛みを全く感じません。
細部にこだわった治療
細部にこだわった処置は治療後の違和感も少なくなる傾向にあります。
処置後おおよそ2週間で糸を抜きます。この時も痛みはほとんどないのでご希望がなければ無麻酔での処置になります。状況によりますが、この後3〜4ヶ月のヒーリング期間をおいて、上物を作る治療になります。
インプラント治療をお考えの方へ
細かな治療過程を書きましたが、インプラントがしっかりインテグレーションして長期間快適にお使い頂くためにはこだわり過ぎることは無いと思っています。
インプラント治療に興味がある方は、ぜひ当クリニックにご相談ください。細部にこだわった治療で、長期間快適に使えるインプラントを提供いたします。
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