コラム
根の治療を繰り返さないためには? 第2弾
前回、『根の治療を繰り返さないためには?』でラバーダムの重要性についてお話しましたが、実はその他にも重要なことがあります。
今回は重要な処置の一つである治療開始前のお話です。
被せてある金属、セラミックははずすべきか?
答えは絶対にはずすべきです。
例えば自費で入れたばかりのセラミックやゴールドなどでも外します。
根の治療が完治しない場合、多くは感染が残っていることが考えられます。
かぶせる金属に穴を開け、根にアプローチすることも可能ですが、完全に感染が除去出来ているかの判断が出来ません。
再度、根管治療をすると一時的症状は改善しますが、感染が残っていればいずれまた再発する可能性が高くなります。
壊れない、隙間がない土台も成功のカギ
人工物と虫歯が完全に取り除けたら、今後の根の治療中唾液が絶対に侵入しないように土台を樹脂で接着します。確実な接着がされないと再度感染がおこったり、強度が低下し、治療中に土台や仮歯が壊れるリスクが増大します。 この方法にして10数年になりますが、壊れない土台を作るために試行錯誤を繰り返し、今では土台が割れてしまう事が全くなくなりました。 土台が出来上がったら周りを削り、かぶせる仮歯を作ります。仮歯は絶対必要(?)
答えは絶対に必要です。
大学では根の治療中、痛みがでやすくなるので噛み合わせを削って下げるように習います。
しかし私は元通りの噛み合わせで仮歯をしっかり噛ませます。
当初は痛みが出るのではないかと恐る恐るでしたが、仮歯で痛みが出ることはほとんどありません。痛みの原因は感染の取り残しや不確実な接着で唾液が侵入しているからだと考えています。
また、仮歯がないとどうなるでしょうか?
口腔内写真とレントゲン写真を見比べて下さい。上の歯が出てきていて(レントゲン写真内の青い斜線部分)、下の歯茎に噛み込みそうなのが分かると思います。かみ合わせや隣との隙間があいていると、歯が動いてしまいます。
歯は奥から力がかかり前歯側に寄りかかっています。間が開いたままだど奥の歯が倒れてかみ合わせが変わってしまいます。また、上下が噛み合っていない歯は歯茎よりだんだんと出てきます(歯が生えてきたときのように)、これもかみ合わせがズレる原因なので治療前と同じかみ合わせがある仮歯を作ることが肝心です。
歯が傾いたり、歯茎より出てきてしまうことは問題です。
さらに正しい形の仮歯はラバーダムを止める金具の適合性がよくなります。金具がしっかりかからないとこの後の治療に不具合を生じる可能性があります。