根管治療で仮蓋が痛いと感じる原因
根の治療中、次回診察までの期間、根の治療のために開けた穴(歯髄腔)を塞ぐために仮蓋をします。
通常、次回来院時に取り除きやすい物が好まれます。
具体的には
- ストッピング(ゴム状の素材)
- 水硬性セメント(水分に触れると固まる素材)
上記の2つの素材では、削ることなく、比較的簡単に、早ければ数秒〜数十秒で取る事が可能です。
一方、簡単にはとれない材料はグラスアイオノマーに代表されるセメントで仮蓋する場合もあります。
仮蓋の痛みについて
仮蓋後の痛みについては、大きく分けて3つ可能性があります。
1.詰めた材料がほかの歯よりも高い場合
詰めた材料が高く、他の歯よりも先にあたるため、痛みが出ることがあります。
その場合は単純に咬合紙という赤や青の紙を噛んでもらい、強くあたっている部分を調整すれば解決します。ストッピングや水硬性セメントの場合は柔らかく、直ぐに削れてしまうので、高すぎて痛みがでる可能性はほとんどありません。
2.感染により、膿が出ている場合
根の中の感染により膿が出ており、仮詰めをしたため出口がふさがれ、内圧が高くなり痛みが出ることがあります。
感染や炎症が酷い場合、根管をあけると膿や血が大量に出る事があり、
このまま、つめてしまうと、上記のとおり内圧が高くなり、何もしなくても痛みがでる、痛くて物を噛めないなどの症状が出ることがあります。
僕の大学時代(32年前)はこのような場合、サンダラック(天然樹脂をアルコールで溶かした製剤)仮封という治療法を習いました。
綿にこの液を染み込ませ、虫歯であいた穴に詰めることで、中から出てくる膿の出口がふさがらずに、腫れが引くまで待つ治療法です。
しかし、根の中に感染している細菌はお口の中にいます。根管内から膿も出てくるが、唾液から再度細菌感染がおこるという事になってしまいます。
これでは何時までたっても治らない事になってしまいます。
しっかり、虫歯内を洗浄し、唾液が入らない仮蓋をすることが、治療後痛みが出ない最善の方法になります。
3.治療後しばらくして痛みが出る場合
これは治療により根の中の細菌数が減り、痛み違和感が消失しても、次回の治療までの間に、仮蓋した周囲から唾液が漏洩し、再度、細菌が根管内に入り込むことで痛みが出ていることも考えられます。
これは論文上、先にあげたストピングでは2日後、水硬性セメントでは4日後に細菌漏洩があったとの報告があります。
仮蓋はセメントやコンポジットレジン樹脂が材料としてはベストですが、このような材料で蓋をしても、漏洩をしないようにしっかり対策できていないと、同じように痛みの原因となります。
漏洩の有無を知る基準
漏洩の有る無しを知る基準としては、下記の2つが挙げられます。
次回治療までの間に、
- 根の治療で詰めた薬の味がする場合
- 膿の味がする場合
上記の2つの場合は、漏れている可能性が高くなります。ただし、膿が歯茎の横から出ている場合は、漏れがなくても膿の味がする場合があります。
当クリニックの治療
当クリニックでは根の治療中、仮歯でしっかり噛み合わせを付与していますが、患者さんが痛みを訴えることはほとんどありません。
虫歯内を洗浄し、唾液が入らない仮蓋をし、漏洩をしないようにしっかり対策を行っております。
心配なことがあったら、お気軽に当院にご相談ください。