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コラム

神経をぬくか、ぬかないか?

みなさんは、歯医者さんで

『虫歯が酷く、神経を抜きましょう』と言われた事はございますか?

 

歯の神経の役割

歯の神経(歯髄)が入っている空洞を歯髄腔(しずいくう)と言います。
歯髄は根の先端から入り、歯の歯冠部(歯が歯茎から露出している部分)まで到達しています。
神経と一緒に血管も入っており、この血管から栄養を受け代謝しているので、
歯が割れにくく、色が綺麗なまま保つことができ、歯の健康が守られています。

日本の研究では

公益財団法人8020推進財団「平成30年(2018年)の第2回永久歯の抜歯原因調査」

では歯の喪失理由の17.8%が破折となっています。

時々、根が折れてしまう(歯根破折)患者さんがおられますが、ほとんどの場合、神経が無い歯です。
根が折れてしまうと、抜歯になってしまいます。
もちろん神経がある歯が割れてしてまう患者さんも中にはいらっしゃいますが、歯根破折した方のほとんどは神経がない患者さんです。

歯の寿命を考えるとできる限り神経をとらない方が良いと考えられます。

海外の論文を見てみると

j clin periodontal 31;749-757
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15312097/
The long-term effect of a plaque control program on tooth mortality, caries and periodontal disease in adults. Results after 30 years of maintenance

この論文は375人の被験者を30年追跡調査した結果、歯を失った人の原因を見ると、歯周病9人、虫歯12人で歯根破折は108人と約1/3の人におよんでいました。

 

神経をぬく、ぬかないの基準とは

神経をとる歯ととらない歯はどんな基準で決めているかをお話しします。

虫歯の進行
  1. 虫歯が放置され大きくなると細菌が歯髄腔に入り込みます。
  2. 細菌が入り込むと、排除するために炎症が起こります。
  3. 最初は少し冷たいものがしみる、噛むと痛みがある。ぐらいの症状があります。
  4. 炎症が進んでしまうと、痛みがひどくなり、何もしないでも痛い、熱いものにもしみるようになります。

進行するにしたがって、一度痛むと数分間痛みが続くなど、症状も大きく、長くなってしまいます。

判断方法

現在でも神経が残せるかの判断で、症状は大きな基準になりますが、実際の神経断面を顕微鏡で20倍に拡大して、健康な歯髄(神経)であるかが最終判断になります。

下記の場合は神経を残せない可能性があります。

  1. 虫歯をとって神経が出た時に、神経がすでに死んでおりミイラ化している場合
  2. 神経のある歯髄腔から白い膿など排膿がある場合

これらの場合は神経を全て取り除き、根管治療を開始します。
この時、神経がダメージを受けていないことが見て取れれば神経を温存する治療が可能です。

同じく神経が出てしまい、ミイラ化や膿は出ていないが、炎症が大きく出血が止まらず、歯髄も健康でない場合は、さらに深い部位(髄床底)まで神経をとります。
歯冠部の神経はなくなりますが、歯根部の神経は残った状態になり、この神経が健康であると判断できれば温存治療が可能になります。
根の神経が残ることで最大の懸念事項、根破折による抜歯リスクを回避が期待できます。

 

まとめ

このように神経をできる限り残すことは、歯を失うリスクを回避することに大きく貢献します。
神経をとるのは最終手段と考えます。

また、定期検診を受け、小さいうちに虫歯治療ができれば神経をとるリスクはほとんどありません。
是非、こまめなチェックで神経の治療にならないように歯科受診をしてください!

当院の歯の根の治療について

 

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