前歯の隙間が開いてきた
以前は前歯に隙間がなかったのに、
だんだんと隙間が開いてきた。
こんな患者さんが時々いらっしゃいます。
前歯の隙間はどうやって治す?
例えば上の真ん中の歯の間が開いている場合の治し方
①樹脂(コンポジットレジン)
両サイドの歯を削ることなく、リン酸という弱い酸でエナメル質を処理して、ボンディングレジンを塗布、光で固めて、その上に更にコンポジットレジンを盛り上げ、形を整えます。
見た目も自然に仕上がりますが、経年劣化で繋ぎ目部分が黒くなることがあります。
②ラミネートベニア
この治療法では歯を削らない場合もありますが通常1層歯の表面エナメルを削ります。
削った後に歯の型をとり、お口の外で削った歯の表面に貼り付けるシェル状セラミック(=ラミネートベニア)をつくり、出来上がったラミネートベニアを歯に接着します。
この治療法もとても自然な仕上がりになります。
経年劣化で色は変わりませんが、かけたり、とれたりする可能性はあります。
③矯正
矯正治療では歯にブラケット言われる装置をつけ、
ワイヤーで開いている隙間を閉じることが可能です。
歯も削らず、とれたり壊れたりする心配は無いですが、通常、治療期間は早くても半年以上かかります。
また隙間が開いてしまうことは無いの?
そうなんです、上記で治し方をお話しましたが、根本原因が改善されなければまた隙間が開いてきます。
樹脂やセラミックで隙間を閉じても、矯正しても時間経過と共にまた隙間はあいてきます。
隙間が開く原因はなに?
前歯に隙間が開いてしまっている原因の大多数は《舌壁=ぜつへき》です。
舌壁とは読んで字のごとくベロの癖です。
飲み物、食べ物、唾液を飲みこむ時に舌で前歯を押すことで、歯が前方に移動した結果、歯と歯の間が開いてしまいます。
矯正で歯を動かす力は100g弱ですが、舌の押す力は2-30Kgと言われています。押している時間は矯正より短くても、力が何百倍もあります。こんな力で歯が押されれば前方に移動して隙間があいてしまいます。
まずはセルフチェックを!
この舌壁があるかは、ご自身で簡単にチェックする事ができます。
上下の歯の間を指1本分開け、そのまま噛まずに唇も閉じずに唾液を飲みこんでみて下さい。
飲めた方は正しい嚥下(=飲み込み方)が出来ていますが、「えー、飲みこめないようー!」と言う方は舌壁がある可能性が高いです。
また、舌の横や両サイドの頬に圧痕(=あっこん)があるかたも舌壁がある可能性があります。
正しい舌の使い方は?
先程のセルフチェックで飲み込め無かった方、今度は上下の歯を噛み合わせ、唇を閉じて唾液を飲んでみて下さい。
これなら飲み込めるハズですが、この時、舌の先で前歯を押していると思います。
これは間違った飲み込み方で、正しくは、舌尖(=舌の先端)が上の前歯の根元(口蓋皺壁=こうがいすうへき)についたまま、前後運動をせずに飲み込むのが正しい飲み込み方です。
舌の前後運動ではなく、左右の喉の筋肉が働いて飲みこむのが正しい嚥下です。
正しい嚥下を獲得するには
まずは、飲んだり食べたり喋ったりしていない時の舌の位置は、常に上の前歯の根元にあり、舌の表面全体がそっと上あごに寄り添っている状態にあります。(スポットポジッション)
気がついたら上下の歯が噛み合い、舌が前歯に触れている方は、舌を正しい位置にもっていき、上の歯と下の歯を離して下さい。この隙間は奥歯で1mm、前歯で2-3mm程度になります。
また、舌の前後運動をするための筋肉ではなく、先程の両サイドの喉の筋肉を鍛えるためにガーグルストップをお勧めします。
ガーグルストップとは
ガーグルストップとはお水を口に含み、真上を向いて5秒間ガラガラうがいをします。口は開いたまま、お水ははき出したり、飲みこんだりぜすに、溜めたままにして止めます。再度、ガラガラうがいを5秒したら口を開いたまま止めます。これを10回繰り返します。
ここで水を喉に溜めたまま止めている筋肉が飲み込む時に使う筋肉です。
まとめ
このように根本原因にアプローチする事で再度前歯が開いてしまう事がなくなります。
前歯の隙間でお困りの方はご参考にしてみて下さい。