虫歯の治療開始はいつから?
まずは虫歯の進行度合いの基準をお話します。
皆様も小学校で受けた歯科検診で‘C1、C2、C3’と歯科医が言ってるのを聞いた事があると思います。
虫歯の進行度合い
虫歯の進行度合いはCO〜C4までの5段階あります。
CO
COは初期虫歯で穴があいてはいないが、歯の表面が白くなりエナメル質がダメージを受けている状態。
C1
C1はエナメル質に限定した穴があいているがその下の象牙質には到達していない状態。
C2
C2はエナメル質を通り越して象牙質まで虫歯が到達しているが、神経が入っている歯髄腔までは到達していない状態。
C3
虫歯が歯髄腔まで到達している状態。
C4
歯茎より上に出ている歯冠部がほとんど崩壊して根の先にまで感染が及んでいる状態。
どのステージから治療するか
どのステージでも治療はすぐに開始することが大切です。
ご自身で異変に気がついたら勿論、定期検診で虫歯が見つかったら早急に治療を開始しましょう。
C1〜C2の場合
当然ですがC1の状態で治療が完了すれば次のステップC2になることはありません。同様にC2も進行してしまえばC3になってしまいます。
進行度合いが進めば通常、穴の大きさも大きくなり、治療後の強度にも影響が出てきます。
またC1、C2までは神経が健康な状態で残ります、神経をとると一緒に血管もとることになります。
歯はこの血管から栄養を受け、代謝がおこなわれていますが、神経が無くなってしまうと、歯は少しずつもろくなり、割れてしまう可能性が高くなります。
C3の場合
C3は神経が死んでしまっているので、感染が根の先端から歯を支えている骨、歯槽骨に出て行きます。
感染が根の先に出てしまうと外科的に根の先を切り取る必要が出る事があるので、やはり早めの処置が必要になります。
C4の場合
この状態は保存不可能で抜歯と判断される事が多いと思います。
虫歯が大きく、健康な歯が歯茎よりも下になってしまうと、適切な処置が出来なくなります。
歯茎より下にある歯を矯正で引っ張り上げて使う事も可能ですが、時間も費用もかかってしまいます。
また、引っ張ることで骨に埋まっている根の長さが短くなります。
歯管・歯根比といって、骨に埋まっている部分の長さと、歯茎より上の部分の長さが1:1をきってしまうと抜歯になります。
また、この処置をしても支えている歯が少ないため長期的な予後は低くなります。
C2〜C3の間の場合
虫歯を取り除いていったら象牙質を超えて歯髄腔に達してしまった場合。
従来の治療では抜髄と言って、神経と血管を取り除く治療になっていました。
しかし、顕微鏡を使って痛んでいる歯髄を除去し、健康な神経があれば根の中の神経を温存する事が可能な場合があります。
歯根部分の神経が残ることで術後年月が経って、根が割れてしまう確率が格段に下がります。
神経を積極的に残す治療は歯の寿命を長くします。
C0の場合
最後になりましたが、以前、CO(Caries Observationの略称)は当クリニックでも暫く様子を見ましょうと“予後観察”していることが多くありました。
しかし2009年イタリア人歯科医師、ドミニコリクッチ先生の出版された本にはCOなどの初期虫歯でも、
虫歯の原因菌が根まで達している顕微鏡像が示されていました。
予後観察をしている間に虫歯菌が歯髄腔をとおして根まで達してしまうので、当クリニックではこの段階でも早期の治療をご提案しています。
まとめ
以上、虫歯の治療開始の時期についてお話しましたが、待っていて良いことは一つもありません。
早期診断、早期治療は歯の寿命を長くします。
虫歯にならないよう定期検診をうけ、磨き残しなどリスクが高い場所を把握して対応して下さい。