歯石除去にも顕微鏡は必須
虫歯や歯周病の予防ために定期検診は重要
定期検診で行うこと
定期検診では、歯科衛生士が患者さんのお口の中を確認します。
虫歯の有無や初期虫歯の発見、歯肉の腫れや排膿など歯周病の確認を行います。
勿論、歯石を見つけたら歯石を除去します。
歯石の種類と除去方法
歯石の種類
歯石の付着場所は歯茎の上と歯茎の下(歯周ポケット内)に分けられます。
歯肉の上の歯石の場合はあまり注意の必要がありませんが、歯肉の下、ポケット内の歯石を除去する場合には非常に注意が必要になります。
歯茎より上に出ている部分はエナメル質と言い、ルビー、サファイアにつぐ硬さで水晶同じモース硬度7と非常に硬い組織です。
一方、歯茎の下は根の表面になりますが、セメント質という組織です。セメント質は先ほどのモース硬度4−5で人間の骨と同じぐらいの硬さになります。
歯石の除去方法
通常、歯石除去をする器具はスケーラーを使いますが、このスケーラーでセメント質を1回擦ると70μm(0.07mm)削れます。セメント質の厚みは歯によって、または部位によって変わりますが、おおよそ200μm(0.2mm)です。スケーラーで3回擦るとセメント質の細胞が無くなってしまいます。
歯石だけを削り、歯石がついていない歯の部分を触らなければセメント質を削ることはありませんが、スケーラーを使って歯石を取る場合は不可能に近いです。
また、ポケット内は狭く、光が届かず、さらにその中で小さな歯石だけを取ることは非常に困難です。
顕微鏡を使用した歯石除去
顕微鏡を使うことでセメントを削るリスクを軽減できます。
顕微鏡を使うことで小さな歯石を大きく拡大し、明視野で超音波を使い歯石だけを取り除けば、健康な根面であるセメント質を削ることなく歯石を確実に除去することが可能になります。
歯石除去で顕微鏡使うメリットは歯肉に傷をつける可能性が低くなります。特に歯石がついている歯肉は腫れていることが多く、少し触っただけで出血が多くなります。出血してしまうと、顕微鏡を使っても根面についた歯石を見ることは出来ません。顕微鏡で拡大し、細心の注意を払って歯石除去をおこなうことで、限りなく出血をコントロールして確実でダメージの少ない歯石除去がおこなえます。
また、手探りで歯石を取るのと比べ、歯石の取り残しもほとんど無くなります。
さらに健康なセメント質を取ることは術後の冷水痛につながります。歯肉の傷も最小限で済みますので、治療後の違和感や痛み、出血がかなり軽減されます。
まとめ
以上の理由により歯石除去に顕微鏡は必要不可欠な治療機器と言えるでしょう。
実際に顕微鏡を使ってのメンテナンスを受けて頂くと治療中の痛みや違和感、術後の不快感がほとんど無かったと実感していただけると思います。